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ニュースの目 (246)

進化論が描くもの

 進化論でのパラダイムシフト

 パラダイムシフトという言葉がある。ある科学の分野あるいは社会思想の面でそれまで支配的だった考え方が急激に変わることをいう。コペルニクスの地動説やアインシュタインの相対性理論などがその典型であろう。ダーウィンの進化論も、それまでのあらゆる生物は神が創造したものであるという考えが覆されたという意味で、ひとつのパラダイムシフトであった。それは社会思想の面に大きな影響を与え、その自然選択という考えは資本主義社会の理論的背景にまでなっている。
 進化論の世界でも新たなパラダイムシフトが起きようとしている。分子生物学が解き明かす<生命活動>の神秘は、DNAやゲノムなどの用語が日常的に使われることが示すように、これまでの生命観を大きく変えようとしている。
 地球の誕生はおよそ46億年前で、原始的な生命の誕生は40億年ほど前であるといわれている。地球の誕生当初は、熱い火の玉であった。大気は二酸化炭素と水蒸気、さらに硫化水素やシアン、メタンなどで構成され、分子(O2)という形での酸素は存在していなかったといわれている。その火の玉・地球が徐々に冷却され、浅い海が出来たとき、その海の中で始めての生命が誕生した。酸素分子がない状態での生命活動は、初期の生物では当然、嫌気性菌という形をとったであろう。この嫌気性菌は酸素があれば死滅してしまう。
 ところが現在の大気には、二酸化炭素はほとんど無く、酸素は2割もあり、残りの大部分は窒素である。では、この二酸化炭素と酸素の構成比の逆転はいつどこでどのような形で起こったのであろうか。
 酸素のない太古の海の中で、生命は誕生した。光のエネルギーを用いての、あるいは海水中の化学物質を使っての化学合成でエネルギーを得ていたが、酸素は作らなかった。ところが光合成を行い、酸素を放出する生物が現れた。藍藻類であるシアノバクテリアの出現である。このときから大気中の酸素濃度が急激に増加していった。光エネルギーを利用して、大気中の二酸化炭素と水からブドウ糖を作ってエネルギー源としたこのバクテリアは、やがて植物の葉緑体へと発展していったのであろう。約30億年前の出来事である。
 最初の生命形態である嫌気性菌にとっては、酸素は致命的な毒物である。生物はどのようにして、この危機を乗り越え、さらには原核細胞から真核細胞へ、単細胞から多細胞へと進化して、生命のあふれる動物と植物の王国を築いていったのであろうか。

 ミトコンドリアの謎

 ヒトの身体は約60兆個もの細胞で出来ている。卵子と精子が合体して出来たたった一個の受精卵が、母親の胎内で分裂を繰り返して、各器官を形作り赤ん坊として誕生する。この一つひとつの細胞もDNAを格納している核を中心に、細胞内小器官(オルガネラ)と呼ばれる様々な構造物がぎっしり詰まっている。このオルガネラの中でミトコンドリアに注目してみよう。
 ミトコンドリアは酸素を利用し、細胞にエネルギーを供給する、いわば細胞内の発電所である。すなわち、空気中の酸素を取り込んで運んでくれる赤血球から酸素を受け取り、エネルギー源となるATP(アデノシン三リン酸)をつくってくれるのである。このミトコンドリアが、動物の細胞には数千個、植物の細胞にも数百個含まれているが、核を持たない原核細胞にはない。このことは原核細胞から核のある真核細胞へと進化してきたことを示しているが、このミトコンドリアがいつどのような形で出現してきたのであろうか。
 1962年、アメリカの学者によってミトコンドリアや葉緑体は、核内のDNAとは違う独自の遺伝子を持ち、独自に増殖していることが明らかにされた。それまでは、DNAは核内にのみあり、すべての生命活動のプログラムとタンパク質の設計図を担っていると思われていたのである。ミトコンドリアや葉緑体のDNAが核内のDNAと違うということは、それらが外から取り込まれた別種の生物であったことを示唆していた。そういった発見に基づいて、アメリカのマーグリスは、1967年に「細胞内共生説」を発表した。ミトコンドリアと葉緑体は、太古の昔には単細胞生物(原核生物)だったものが、別の大型細菌に取り込まれ寄生するようになり、さらにこれが真核細胞へと進化し、さらに多細胞生物である植物と動物に進化したというのである。
 このことは先に触れた、嫌気性菌という形で生きてきた生命体が、猛毒であるはずの酸素の中でも生きてゆける生命へと進化した謎に迫るものとなる。ある種の藍藻が二酸化炭素と水から光エネルギーを利用してブドウ糖をつくり、副産物としての酸素を大気中に放出するようになる。いわば自らの生存を脅かす、一種の大気汚染である。しかし、その酸素を使ってエネルギーを生産する好気性菌が出現した。
 酸素が豊かな大気は、好気性菌にとって住みよい環境で、徐々にその勢力を広げていった。あるとき嫌気性菌のあるものが、この好気性菌を自らのうちに取り込んだことより革命的ともいえる進化が始まった。取り込まれた好気性菌は、酸素を利用してエネルギーを生産し、宿主である嫌気性菌に供給し、嫌気性菌の側では、好気性菌に必要な栄養などを供給した。ここに共生という関係が生まれ、大気中に溢れ始めた酸素の中でも生きながらえるすべを獲得したのである。この好気性菌こそ、真核細胞に共通して見られるミトコンドリアの祖先に他ならない。さらにこのミトコンドリアの祖先が寄生している細菌に、葉緑体の元になった菌が取り込まれることで植物の先祖へと進化していった。

 社会の進化とは

 生物学とは無縁の筆者が、ミトコンドリアの進化について考えているのは、ヒトとヒトの交わりにおいて、いかにして社会の共同関係が築かれ、どのように社会に利益もたらすかを考えるヒントになると思っているからである。地球温暖化は人間活動がもたらしたものである。人口の爆発、都市問題、高齢化などの人間社会が共通に抱える問題は、社会の共同関係を再構築する以外に解決の道はないように思える。それは弱肉強食でもなければ、自己のうちに閉じこもり、己の欲望のみを追求することではとうてい達成できない。共生関係の構築といったことに関しては、稿を改めて考えてみたい。

<墨滴>

協賛企業 笠岡マルセン開発(株)
株式会社 中国バス 神辺スポーツセンター
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